森田童子の美学

「青い旗の会」設立当時のメンバー。
長いトンネルを抜けて、開いた扉がここだった。

誰か僕を見かけませんでしたか。

私が不在でも、どうぞ自由に書いてください。
語り合ってください。

この扉は時と空間を超えて、森田童子の美学の世界へと通じているのだから―。

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売れない役者

童子は、よく歌の合間に自分の周りにいる人の話をした。
それも実名で。

ところが、ずっと「役者志望の彼」とか「売れない役者」という匿名で登場していた人がいる。


「身長が183ぐらいで、カッコよくて。
セリフがない役だと、とてもすばらしい人なんだけれども。
デビューすることになっていた刑事物ドラマのとき、少し長いセリフになると、青森の弘前出身の人なので訛りが出てきちゃって。

刑事物のレギュラーも降ろされてしまって、今は毎日ボディービルに通っているわけですね。

最近は、彼のアパートに、古道具屋から買い入れてきた大きな鏡があって、
そこでいつも自慢の自分の身体を映してはうっとりとしているわけです。

郷里ではお母さんが弘前で、デパートに勤めてるわけですね。

で、そこに小林旭のように、かっこよく帰ることが夢なんだけれども、もう10年ぐらい帰っていなくて、いつも帰ることだけを夢みている人なわけです。」

そして、あるときはバス停からベンチを持ってきて来た話。
この話は、他の雑誌か何かのエッセイにも載せていたような気がする。

「彼は酔っ払うと、よく色んなものをあちこちから持ってくるんだけれども、あるとき、バス停からベンチを抱えて持ってきたんですね。」


いくら体が大きいと言っても、バス停のベンチの話はさすがに冗談だと思っていた。

童子の事務所「海底劇場」へ行ったときのこと。
ちゃんと、あった…!
紛れもない、バス停のベンチが。

「役者志望の青年」、「売れない役者」とは、森大河のことだった。

本当に背が高くて、ハンサム。
とてもシャイで、あまり話をしなかったように思う。

何年か前に、「森大河が亡くなっていた」という書き込みをどこかで見た。
しかし、どういうわけか今、その事実を確認しようと思っても、わからない―。

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童子との会話〜淋しい雲〜

いつも君のあとから長い影をふんで
いつも君のあとからついてゆきたい



西荻ロフトでのライブの後だったと思う。

童子とマネージャーのM氏、そして2人ほどライブの常連がいただろうか。

人気の少ない休日の夜、
ギターケースを抱えた童子の少し後から
私は歩いていた。

中央線のプラットホーム。

電車を待っているとき、童子が私の顔を覗き込んで言った。
「顔が赤いけど熱があるんじゃない」
返事をする間もなく、私の額に触れた細く白い手。

一瞬、時が止まったかのようだった。

心臓を打つ音が彼女にまで伝わるのではないかと考えると、
さらに鼓動が高まっていく。

私に当てた手を自分の額にあてると
「大丈夫、そんなに熱はなさそうね」
と言った。

かあーっと熱くなり、
「いま、熱が出たみたいです」
ホームに入ってきた電車に掻き消されてしまい、
聞えたかどうか。

ひんやりとした
あの手の感触を今でもはっきりと憶えている―。



どこへ行くあてもなく 
ぼくたちは
よく歩いたよね
夏の街の夕暮れどきは
泣きたいほどさびしくて
ぼくひとりでは 
とてもやって
ゆけそうもないよ



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「グッドバイ」の意味

大学時代に「美術史」という授業の試験で、“美”に関することならどんなテーマでも内容でも構わないというので、前期・後期ともに、「森田童子の歌に見る“青春の破滅と美学”」というタイトルで小論文を書いて提出した。
後にも先にも「秀」という成績を取ったのはこの授業だけ。

「青春の破滅と美学」というのは、森田童子自身が使っていた言葉で、色紙などに書いていた時期もあった。

高校生だった彼女が、新宿の「風月堂」という喫茶店で、少し年上の仲間たちの会話に耳を傾け、その仲間たちが学生紛争に加わり、クスリをやっている姿を見ていた時期。
自分自身はまだ行動に移せない、でもいつかは直接行動できると思っていた。
彼女のとても大切な人が、おそらく一緒に暮らしていたその人が、捕まったそのときも、まだその期待はあったのではないか。

「さよならぼくの友だち」を聴くと、この曲が始まりであり、本当はここで終結していたことを感じる。
「ぼくたちの失敗」は明らかにその続編であり、アンサーソング(過去の自分とその人への)ともいえる曲。

デビュー前、森田童子はソングライターとしてのみで、本当は他のシンガーに歌ってもらう予定だったと、本人から聞いたことがあった。
しかし、歌える人がいなかったので、仕方なく自分で歌ったのだとー。
デビューアルバム1枚で終わるつもりで「グッドバイ」というタイトルをつけたのだとも。

そのとき交わした彼女と私の会話はこんな風だった。

私「グッドバイというタイトルは、太宰治から取ったんですよね」
童子「そう」
私「もしかして、このデビューアルバムで終わるつもりで?」
童子「(笑いながら)へえ、よくわかったわね。本当はこの1枚で終わるつもりでつけたんだけど」

過去の自己と決別するために作ったアルバムだったのかもしれない。
でも、ライブで歌ううちに、彼女はそこに来る“病んだ”若者たち、“今に失望している”若者たちを目の前にして、「変わっていった」ではないか―。
本質的なものはもちろん変わってはいなかっただろうが、一種の「使命」のようなものを感じたように思うのだ。

そして、その必要がなくなった、と感じだときに、消えていったのではないかと。

しかし、時代を超えて今なお、どこか自分と社会(あるいはもっと目に見えないもの)に折り合いをつけることのできない人たちの耳にとまり、心を動かす―。

そして、聴いた者は彼女の歌に癒され、救われていく。

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森田童子の共時性

※下記は、mixiの森田童子のコミュニティへ載せた私のコメントに手を加えて掲載したものです。

おそらく…、森田童子の歌は、今までも、そしてこれからも、必要なときに必要な人の心へと届いていくのだろう。
どんなに時を経ても色褪せることなく、深い悲しみと寂しさ、そしてやさしさと愛を包み込んだまま。

そうした音楽は他にそう多くはないだろう。
なぜなら、彼女の歌は、ヒットさせようとか、いま流行っている音楽と同じようなものを作ろうとか、そうした発想から生まれたものではなかったのだからー。

歌を聴く目の前の“あなた”だけに語りかけ、歌っている。
だから、彼女の歌を“私へのもの”と感じ、受け取った人の琴線を震わせるのだろう。
そして、時空を超え、“生きたまま”そのメッセージは、必要な人のところへ、必要とする時期に届けられていく。
聴くことで、ある種、同じ感覚を持った者同士に“共時性”が生じるのだ。

たとえて言うなら、イエスの言葉に近いのかもしれない。
イエスの言葉によって多くの人々が救われたように、森田童子の歌も人を救う…。
イエスの言葉は弟子によって書き取られ(その時点ですでに第三者の思いが入ってしまう)、「聖書」という形で翻訳され(さらに言語、時代の壁が真の言葉を覆ってしまう)ているが、童子自身の言葉をそのまま本人の声で聴くことのできる私たちのほうが恵まれているのかもしれない。

そう、必要なとき、必要な人に、必要な童子の音楽は降りてくる―。
そして、私たちは時空を超えて、繋がりあう。

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語りー「ぼくを見かけませんでしたか」

テープのケースには'78.6・30、7・9とも書いてある。
テープそのものには日付は書かれていないから定かではない。
場所は不明。
エコーが利いていなく、間近で録音している感じだ。
おそらく小さなライブハウスだろう。
北千住の「甚六屋」かもしれないー。
息遣いまで聞えてきそうな、マイクを通さずに利いているような、生っぽい感じがまたいい。

ひとつの終わりをどのように終わるかということはとても難しいものです。
ゴダールの「勝手にしやがれ」という映画が、また来ていますけれど、あの映画も一人の青年が自分の終わりに向かって走っていく、自分をどう終わらせるかという映画だったと思います。うまくいくというより、自分の一つの終わりをどう終わらせるかということは、とても難しいものです。
次の歌は『ぼくを見かけませんでしたか』

幼いお前のひとしずくの涙の裏側に、もう引き返すことのできないプリズム色の4つの季節が見える。幼いお前のひとしずくの涙の裏側に。『端午の節句』です。

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