エピソード | 森田童子の美学

「青い旗の会」設立当時のメンバー。
長いトンネルを抜けて、開いた扉がここだった。

誰か僕を見かけませんでしたか。

私が不在でも、どうぞ自由に書いてください。
語り合ってください。

この扉は時と空間を超えて、森田童子の美学の世界へと通じているのだから―。

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童子との会話〜淋しい雲〜

いつも君のあとから長い影をふんで
いつも君のあとからついてゆきたい



西荻ロフトでのライブの後だったと思う。

童子とマネージャーのM氏、そして2人ほどライブの常連がいただろうか。

人気の少ない休日の夜、
ギターケースを抱えた童子の少し後から
私は歩いていた。

中央線のプラットホーム。

電車を待っているとき、童子が私の顔を覗き込んで言った。
「顔が赤いけど熱があるんじゃない」
返事をする間もなく、私の額に触れた細く白い手。

一瞬、時が止まったかのようだった。

心臓を打つ音が彼女にまで伝わるのではないかと考えると、
さらに鼓動が高まっていく。

私に当てた手を自分の額にあてると
「大丈夫、そんなに熱はなさそうね」
と言った。

かあーっと熱くなり、
「いま、熱が出たみたいです」
ホームに入ってきた電車に掻き消されてしまい、
聞えたかどうか。

ひんやりとした
あの手の感触を今でもはっきりと憶えている―。



どこへ行くあてもなく 
ぼくたちは
よく歩いたよね
夏の街の夕暮れどきは
泣きたいほどさびしくて
ぼくひとりでは 
とてもやって
ゆけそうもないよ



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「グッドバイ」の意味

大学時代に「美術史」という授業の試験で、“美”に関することならどんなテーマでも内容でも構わないというので、前期・後期ともに、「森田童子の歌に見る“青春の破滅と美学”」というタイトルで小論文を書いて提出した。
後にも先にも「秀」という成績を取ったのはこの授業だけ。

「青春の破滅と美学」というのは、森田童子自身が使っていた言葉で、色紙などに書いていた時期もあった。

高校生だった彼女が、新宿の「風月堂」という喫茶店で、少し年上の仲間たちの会話に耳を傾け、その仲間たちが学生紛争に加わり、クスリをやっている姿を見ていた時期。
自分自身はまだ行動に移せない、でもいつかは直接行動できると思っていた。
彼女のとても大切な人が、おそらく一緒に暮らしていたその人が、捕まったそのときも、まだその期待はあったのではないか。

「さよならぼくの友だち」を聴くと、この曲が始まりであり、本当はここで終結していたことを感じる。
「ぼくたちの失敗」は明らかにその続編であり、アンサーソング(過去の自分とその人への)ともいえる曲。

デビュー前、森田童子はソングライターとしてのみで、本当は他のシンガーに歌ってもらう予定だったと、本人から聞いたことがあった。
しかし、歌える人がいなかったので、仕方なく自分で歌ったのだとー。
デビューアルバム1枚で終わるつもりで「グッドバイ」というタイトルをつけたのだとも。

そのとき交わした彼女と私の会話はこんな風だった。

私「グッドバイというタイトルは、太宰治から取ったんですよね」
童子「そう」
私「もしかして、このデビューアルバムで終わるつもりで?」
童子「(笑いながら)へえ、よくわかったわね。本当はこの1枚で終わるつもりでつけたんだけど」

過去の自己と決別するために作ったアルバムだったのかもしれない。
でも、ライブで歌ううちに、彼女はそこに来る“病んだ”若者たち、“今に失望している”若者たちを目の前にして、「変わっていった」ではないか―。
本質的なものはもちろん変わってはいなかっただろうが、一種の「使命」のようなものを感じたように思うのだ。

そして、その必要がなくなった、と感じだときに、消えていったのではないかと。

しかし、時代を超えて今なお、どこか自分と社会(あるいはもっと目に見えないもの)に折り合いをつけることのできない人たちの耳にとまり、心を動かす―。

そして、聴いた者は彼女の歌に癒され、救われていく。

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